小説『翔ぶが如く』について

 とにかく長かった。
 これが『翔ぶが如く』を読み終わっての一番の感想だ。
 『翔ぶが如く』は全10巻で明治6年の征韓論から西南戦争までの経緯を著している。
 この作品は登場人物が多く、ゆえにストーリーが必然的に長くなっている。特に佐賀の乱から西南戦争までの時間的経過が詳細過ぎて、読むには相当な根気が必要である。司馬氏の作品は、独特の鳥瞰的手法を用いるため、話が長くなってゆく。
 ちなみに、1990(平成2)年にNHKの大河ドラマで放送された『翔ぶが如く』では、西郷・大久保の幕末活動期も含まれてストーリーが展開していたが、原作の『翔ぶが如く』は征韓論直前から話が始まってゆく。

 ところで、西郷隆盛凡庸説なるものがある。それについて司馬氏は、西郷が明治初年において狩猟に出掛けた際、転倒して切り株に頭部を強打したことがその後の判断力などに影響したのではないかと記している。また、その影響で西郷が天候が良くない日などは、気分が憂鬱になるとも記している。興味のある方は作品をご覧頂きたい。

 明治になり『国家』という概念が生まれて次々と近代化が進む中、その副作用として既得権を奪われた人々の鬱積した気分が西南戦争などの反乱に繋がってゆく。それに至るまでの暗闘や、政府高官と不平士族の思惑などが凝縮された作品がこの『翔ぶが如く』であると結んで終わりにしたい。

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