小説『坂の上の雲』について
『坂の上の雲』
この作品の名を初めて耳にしたのはそう遠い昔の話ではない。確か5年ぐらい前であったような記憶がある。
「『坂の上の雲』は司馬遼太郎氏の名作で、司馬作品が好きな方なら一度は読んでおいても損はない。」
とどこかで目にしたか耳にしたのだが、今となっては思い出せない。
私自身、おおまかな日本史については、20台の半ばから割と熱心に探求していたのだが、歴史小説のカテゴリーは正直なところ遠慮していた。理由は新書系の歴史書籍と違い、歴史小説というのは事実を多少歪曲し、娯楽的な要素の多いものだと見下していたところにある。
ところがそのような心境も歳とともに変化してゆき、一昨年の12月、2ヶ月程度の期間をかけて司馬氏の『街道をゆく』を読み進めた。
『街道をゆく』は私が叔父から15歳の時(平成元年)にプレゼントされたもので、当時の私にとっては内容があまりにも難しいために、2~3行だけ目を通し、その後18年間は書棚に眠っている状態であった。
その『街道をゆく』を手に取り読み始めてみると、司馬氏の独特な歴史観や、風土と歴史の関連性を説く内容に驚嘆した。それが司馬遼太郎作品を読み始めるきっかけとなってゆく。
初めに徳川慶喜を描いた『最後の将軍』、次に征韓論と西南戦争をテーマにした『翔ぶが如く』、そして名作として高い評価を得ている『坂の上の雲』に至る。
『坂の上の雲』は前半が人間個人(秋山兄弟と正岡子規)の成長過程を描き、中盤からは成長した秋山兄弟が参戦する日露戦争を描いている。明治という時代を生きた人々と、その人々が築いた国『日本』を描いた『坂の上の雲』は、日本に生きるすべての人にオススメの一冊である。
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